外耳炎の治療について
わんちゃんの外耳炎、簡単に治るもの、時間がかかるもの、一生お付き合いをしないといけない、もしくは外科手術をしないといけないものまであります。なんとか外科手術をしなくて良いようにしたいと思いますが、耳の状況を把握せず耳の穴が完全に塞がり手術が避けられない方もいらしゃいます。
ここでいう外科手術は耳をとってしまう耳道切除や鼓室胞切開のことを言います。なかなか大変な手術です。
なんとかそうなる前に適切な治療を行うことをお勧めします。外耳炎はわんちゃんにとってとても苦痛です。
外耳炎は”外耳炎”とひとまとめにしてしまいがちですが、その原因や悪化要因はアレルギーやアトピー 、脂漏性皮膚炎など、体質や病気であったり、元々の耳の形が関係したり、鼓膜の汚れが除去できず慢性化したりと、とても複雑です。家庭での耳洗浄が悪化要因のこともよくあります。
こうした中、ビデオオトスコープを用いた治療により、耳道の状況を把握でき、汚れを除去するのに有用です。オトスコープを使用しないで耳道の洗浄を診察中よく行いますが、鼓膜にへばりついた汚れや鼓膜に刺さった毛などは簡単には取れません。
今回オトスコープでの治療について解説してみたいと思います。
【まず耳道を覗いてみると】
【汚れを毛が奥から生えているように見えます。実際は脱落した毛が奥まで入り込んでいます。鼓膜はみえません】
【もう少しキレイにして、近寄ると耳道が閉塞しているのがよくわかります。鼓膜はまだみえません。】
【カテーテルを入れると汚れや毛が浮き上がってきました。これをカテーテルや鉗子で取り除いていきます。】
【さらに奥まで進むと鼓膜があります。毛や汚れを鼓膜を傷つけないよう取り除くとこんな感じ。なんとか鼓膜が見えますが、正常な鼓膜の構造を確認することはできず、耳道も炎症を起こし腫れているのがよくわかります。これだけ炎症を起こしていると、正常ではない皮膚が脱落してきます。再度洗浄が必要でしょう。しかし、適切な治療を繰り返していくと、耳道は開いてきます。*ただし耳道が石灰化などを起こし硬くなっている場合は先に話した通り、いくら治療しても耳道は開かず、手術が適応になります。そうならないようにしたいのです。】
⭐︎鼓膜の汚れをキレイにし、さらに、アトピーやアレルギーなど病気や繁殖してしまった細菌等の治療を適切に行う事が重要なんですね。通常は何度か洗浄が必要です。
○重度外耳炎の場合汚れが酷すぎると診察時の洗浄で耳道内をキレイにすることはなかなか難しい事がわかってもらえると思います。